
【ゴーゴーバーの集合体であるナナプラザはナイトライフの象徴的存在(Nana Plaza, Bangkok)】
バンコク最大級の歓楽街ナナと言えば、有名なのがナナプラザである。
そもそもこの地域一帯が人間の性と欲望に満ち溢れ、猥雑でエネルギー高めな場所だが、3階建てコの字型のフロア全てにゴーゴーバーが入っているナナプラザは、もはやセックスツーリズムとして世界的にも知名度が高い。
ゴーゴーバーとは:ビキニ姿に番号札を付けたセックスワーカーたちが、ステージ上で踊ったり、客を誘ったりするバーのこと。設備や雰囲気はストリップクラブに似ている。多数のセックスワーカーが同時にステージに上り、客は座ってお酒を楽しみながら、目をキラキラさせて女性達の品定めをする。バーガールと呼ばれる彼女たちは、「連れ出し料」を支払った客と一緒に夜の街に消えてゆく。
ナナプラザでは1階よりも2階、2階よりも3階と上のフロアに行くほど高級店ということになっている。基本的にタイ人の娼婦は化粧が濃く、イケイケな子が多い。どう見てもニッポン男児の好みではなさそうだが、3階にはカワイイ系の女の子を揃えた日本人ツーリストに人気の店(店名:レインボー)もあると聞く。他にもビルボード、スパンキー、ロリポップ、ゲイシャ、とキャッチーな店名が続く。しかしビルボードとは・・・ 他社が商標登録している名称を勝手に使ってもいいんか・・・?
日本人男性による買春現場を目撃

【女の子をお持ち帰り途中の日本人男性3人組(筆者撮影:2018年5月)】
日記を読み返してみたところ、私が前回バンコクを訪れたのはコロナ以前の2018年だった。宿泊は毎度BTS Nana駅にほど近い某アパートメントホテルと決まっている。近くのAt One Marketでシンハービールを片手にプーパッポンカリーを食べ、千鳥足ご機嫌でホテルに戻る時、今まさに女の子をお持ち帰り途中の日本人男性3人組に遭遇した。
私のすぐ目の前を歩く日本人男性らは縦並びで3人、それぞれ隣にはおててを繋いで歩く女の子の姿があった。チラッと見えたその顔立ちは、なるほど日本人好みの色白清楚系である。ははーん。これは例の店レインボーから連れ出したのかもしれない。ここは一つ芸能人に例えたいところだが、筆者はもう10年以上日本のテレビを見ていないので、最近の有名人の名前が出てこない。それを踏まえて、あえて誰かの名前を挙げるとしたら、遥か昔マックの海老カツバーガーのCMに出ていた頃のエビちゃん・・・?
一番後を歩いていた黄緑色のポロシャツ男と、エビちゃん娼婦のやり取りが以下である。
「ハウ オールド アー ユー?」
「トゥウェンティー ワン! ウフフフフ♡」
クソもおもしろくない会話である。一番前を歩いていた紺色ポロシャツ男が「もうタクシー乗っちゃっていいっすね?!」などと確認を取りながら、鼻息荒く止めたタクシーの後部座席に乗り込み、夜の街へと消えて行った。集団的日本男児による買春の一幕である。
異国の地まで女を買いに行くその精神と言いましょうか、性欲の強さみたいなものが女の私にはあまり理解できない。黄緑ポロシャツの彼は見た目、たぶん日本にいたら爽やか好青年の部類に入るだろう。彼らは日本に帰ったら紳士に戻るんだろうか。
タイの露店はなんでもアリ

【女性用アダルトグッズと偽ブランド物の財布を並べるこのセンス・・・】
Nanaでは早朝から明け方まで露店が並ぶ。「眠らない街 東京」などとよく言われるが、バンコクはその比ではない。洋服も食べ物も何でも売っている光景は活気があって見ているだけで気持ちが高揚してくる。堂々と外で陳列されてる女性用バ○ブを横目に、フリーランスの売春婦(通称立ちんぼ)が並ぶ路上を歩いていると、さっき見た買春の一場面も自分は一体何に嫌悪感を抱いたのかわからなくなってくる。売春ビジネスなんて古代ギリシャ・ローマ時代から存在していたじゃないか。そもそも性欲は人間三代欲求のうちの一つである。そしてSEXワーカーである彼女達はきっと、自発的にここで働いている。そう推測するのが自然だろう。何が良くて何がいけない事なのか。東南アジアの風に吹かれていると、善悪の定義も曖昧になってくるのだった。
BTS Nana駅周辺は私にとってハタチの頃からのホームグラウンドだった。20代の時はこの街に居ると俄然やる気が出てきて、細胞が活性化される感じがした。たいして寝なくても平気だったし、よっぽどエネルギーが有り余っていたのだろう。我ながらワイルドに生きていたもんだと感心する。怖いものは何も無かった。そんな風に思って生きていたあの頃の自分が一番怖い。
筆者は先月(2025年3月上旬)もナナ駅近くのホテルに滞在していた。ナイトライフを象徴する街、バンコクの夜はやっぱり魅力的だと思う。だけど、歳を取った今では赤青ピンクのネオンに、逆に精気を吸い取られそうだった。老化現象を実感した瞬間である。

【街の至るところにあるサーンプラプーム(祠)は、娼婦も手を合わせながら通り過ぎて行く】
最後にナナプラザの名誉のために言っておきたい。ナナプラザは女の子が買えるショッピングモールのような所だが、一階の真ん中はただのメインバーである。テレビの設置もたくさんあってアメリカのスポーツバーにいるような集いの場になっている。そこではバーガールに声をかけられることもなく、ただお酒を飲みながらストリートフードを食べて、異次元空間の雰囲気を楽しめる、言わば大人向けエンターテイメントセンターだ。万人受けしないのは重々承知なので人にオススメはしないけど、女性が一人で行って見ても全く無問題な場所である。
ナナプラザは2025年も男女問わず、多くの外国人観光客を魅了していた。それどころか、コロナ禍を経てタイ国内の物価自体も上昇しており、屋台も売春婦もすべてがパワーアップしていた。今後も更なる値上げが予想され、ナナプラザは日本男児にとって かつて天国だった場所 として認識される日が近いのかもしれない。
先月訪れたバンコクで、筆者は日本人旅行者を一度も見かけなかった。
※ ナナプラザは現在、屋内も屋外も写真撮影が不可となっている。
そのため一枚目の写真はナナプラザ公式サイトから拝借したものである。
Nana Plaza 公式サイト